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日本の里山に溶け込んだ別名『貧乏草』 – ヒメジョオン 2010.12.23


ヒメジョオン(北アメリカ原産)
花はキク科特有の頭状花序。中心には花びらをもたない筒状花、周辺には細い花びらをもつ舌状花が並んでいる

ヒメジョオンより遅れて大正時代に帰化したハルジオン夏の草刈り前、あぜ道に咲くヒメジョオン。白い花は午前中には反り返るほど開き、夜には閉じている。大きく育っても中心の茎があまり上へ伸びず、横から見て昔の灯台のようなかたちになるのも特徴だ

夏の草刈り前、あぜ道に咲くヒメジョオンヒメジョオンより遅れて大正時代に帰化したハルジオン。花はそっくりだが、春に咲くこと、葉の付け根がやや茎を抱くこと、茎が中空になることなどで見わけられる。花弁がピンク色を帯びるものも多い

 炎天下の道ばたに、花畑のように咲き誇っている白い花。見れば花の上ではダイミョウセセリが蜜を吸い、アズチグモが獲物を待ちかまえている。葉っぱを食べているのはシャクトリムシ。ヒメジョオンは、もう日本の里山の自然にすっかり溶け込んでいる。

 ヒメジョオンは「姫女苑」。よく混同されるが、姿の似たハルジオン(春紫苑)とは漢字表記も違っている。4月から5月に咲くハルジオンに代わって、ヒメジョオンは6月ごろから初冬まで咲き続け、綿毛とともにたくさんの種子を飛ばす。それが秋のうちに芽を出し、年を越してまた翌年花を咲かせるのだ。

 あまりにも見慣れた花だが、よく見れば美しい。実際、江戸末期に移入されてきたのは鑑賞目的で、当時は「柳葉姫菊」と呼ばれていたという。今では別名「貧乏草」なのだから、ずいぶん落ちぶれてしまったが、それも日本全国に野生化していったヒメジョオンの生命力の強さからくるもの。手入れをすることもなく荒れ果てた庭に咲き誇るヒメジョオンのイメージから来ているのだろう。

 ヒメジョオンのように当初は園芸種としてもてはやされながら、希少価値がなくなるとともにうち捨てられ、野生化していった帰化植物は多い。総称して「園芸逸出」と呼ばれているもので、外来生物法に指定されている特定外来生物に限っても、オオキンケイギクやオオハンゴンソウなどがそれだ。

 戦後間もないころ、全国に広がり人びとの心をいやした「花いっぱい運動」をはじめ、今も街や路傍に花を植えたり、種を蒔く活動は続けられている。だが、その反面、見境なしに導入された外来の園芸種のいくつかが、在来の生態系を破壊しつつあるのもたしかだ。

 咲き乱れる花は、訪れる人の目を和ませ、景観を美しく見せる。だが、今後は量や見映えだけでなく、より環境保全に考慮した種類選びや育て方が求められていくだろう。

文・撮影/上田泰久 道草ネイチャーウォッチング