ワールドジョイントクラブ » 日本の外来生物 » ミドリガメが大きくなったら何になるのか? – ミシシッピアカミミガメ

木の上で甲羅干しをするミシシッピアカミミガメ。成体では全体に色が沈み、遠目ではクサガメと区別が付かない
生後1年あまりの「ミドリガメ」。その寿命は20年から30年と言われている。この亀が無事に天寿を全うするころには、この男の子は今の自分と同じくらいの子どもを持つ年齢になっているはずだ
同様の環境に生息するクサガメ。甲羅に走る3本の筋状の隆起が区別点だ。厳密に言えばこのクサガメも江戸後期に中国から入った移入種という説があり、本当の日本固有種ではないらしい
公園やお寺の池などで、石の上にひなたぼっこしている亀の姿を見るのは微笑ましい。場所によっては人に懐いていて、エサをもらいに泳いでくるものもいる。
でも、近寄ってきた亀をよく見てほしい。頭の横に赤い帯があったら、それは「ミドリガメ」の大人になった姿なのだ。
今年6月に、山梨県甲府市の舞鶴城公園で見つかった「カメデス」と落書きされた亀のニュースを覚えているだろうか。保護された亀は、ミシシッピアカミミガメ(別名ミドリガメ)であることを指摘され、再び放流できず新しい飼い主に引き取られることになったという。落書きされていた程度のことがニュースとなって、あとから外来生物であることに気づかれるというのは、ある意味で日本の感情的自然保護意識を象徴する事件だった。
ミドリガメが日本で売られるようになったのは戦後のこと。鮮やかな緑と黄色のしま模様、活発に動く愛らしい姿から人気となった。現在でも縁日の「カメすくい」などで売られている姿を見かける。
子ガメはたしかにかわいいけれど、成長すればメスは20cmを超え、飼いきれなくなって逃がされたものが野生化している。汚染に強く野外でも自然繁殖しているため、都市近郊では今や在来のクサガメよりも多いほどだ。外来生物法では「要注意外来生物」で、飼育や販売が規制される特定外来生物に指定されなかったのは、そうなった場合、今飼われているものが一気に野外に捨てられてしまう可能性があるから、とも言われている。
日本では古くから生き物を放流して罪滅ぼしとする「放生会」の習慣があり、お寺の亀などはその名残だ。でも、その場のかわいさで買い、飼いきれなくなったから捨てるというのは別の話。それは命を預かることの責任を忘れた、まったく正反対の行為なのだ。
文・撮影/上田泰久 道草ネイチャーウォッチング