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株式会社力の源カンパニー 河原成美  2010.07.20



力の源カンパニー 代表取締役 河原 成美 イメージ01

商売道の主破離

「一風堂を作って25年。常に3年、10年先を見据えて事業計画を立て、実行してきました」

 河原氏のビジネススタイルを読み解くとき、「3」という数字は象徴的な意味合いを持つ。

「武道に守破離という考えがあります。基本を習得し(守)、基本を崩す(破)、そして自分のスタイルを確立する(離)、という段階を示したものです。それぞれの段階に必要な時間が3年、10年、30年と言われています」

 会社や店舗、そこで働く人たちにとっても、3年という時間は何かを成熟させるために必要な、理にかなった期間だという。

「私は自らを表現する方法として商売を選びました。自己鍛錬という意味では・商売道・とも呼べるもので、ここでも守破離の考えは当てはまります」


終わりのない未来を詳細に描き続ける

「IPPUDO NY」は3年目に突入し、昨年末に出店したシンガポール店も好調。今後の海外事業について尋ねると、世界の主要都市が10以上並んだ。

「企業は拡大するか縮小するか二つにひとつ。生き残っていくためには新しい物語を創り続けなければなりません。いま社会はものすごいスピードで動いています。少しずつ成長、というスタンスでは生きていけない」

 もちろん、世の経営者たちは誰もが、事業の未来(物語)を描き経営に勤しんでいるはず。明暗を分けるポイントは何なのか。

「物語の表側だけでなく、裏側まで詳細に思い描けるかどうか。細部までしっかりとイメージすることが大切です。何より、お客様にとって魅力的で、価値のある物語を、絶えず生み出し続けていかなくちゃいけない。もっとこうしよう、という未来の物語がないと衰退するだけです」


社会への想いも河原流で体現

 力の源カンパニーでは2003年から主に小学校で、食の楽しさや大切さを伝える「ワークショップ」を始めた。5月にはそれを常設化し、粉食体験型施設を「チャイルドキッチン」としてオープンした。

「後進のためになることをしなきゃいけないな、と。社会に生きる人は、一人ひとりが小さな灯りのようなものです。輝き方は違うかもしれませんが、自分を磨くことによってまわりの世界を明るく照らすことができる。つまり一灯照隅。輝こう、という人が増えると、世界はもっと明るくなると思うんです」

 しかし、一風堂のワークショップはこれまで広報活動をしてこなかった。「会社の事業とは別に考えたい」からだという。河原氏は「社会に貢献とか、そういう意識でやっているわけじゃない」とはにかむ。とはいえ、こういった事業にはお金もかかり、人も要る。社会への想いや情熱なしにできることではないはずだ。

「商売道を通じて、後輩たちのことを考え、環境づくりをする。小さなことでいいんです。会社の規模は関係ない。誰にでもできることなんです」

 道に終わりはない。25年前に夢見た「かっこいいラーメン屋のおやじ」は、今なお自らの商売道を求め、これからも輝き続けることだろう。

株式会社力の源カンパニー 河原成美

河原成美(かわはら なるみ)

株式会社力の源カンパニー

1952年福岡県生まれ。1985年に「博多一風堂」を開店し、翌年に力の源カンパニーを設立。1994年、ラーメン博物館(新横浜)への出店を機にその味は全国区へ。2008年にはニューヨークに「IPPUDO NY」出店。海外進出を果たした。2009年にはシンガポール店、2010年7月にはシンガポール2号店をオープンした。