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日本の秋にすっかり定着した花の群れ – セイタカアワダチソウ 2010.12.23


セイタカアワダチソウ(北アメリカ原産)
埋め立て後、放置された谷戸に繁茂するセイタカアワダチソウ。名前の通り草の高さは2m以上にも達する。


花が終わったあと。1株あたり数万もの種子をつけ、冠毛に風を受けて飛んでいく。地上部が枯れても地下茎に栄養を蓄えてそこから再び芽を出してくる。駆除には年2回以上の刈り取りが必要だという


花期には花粉や蜜を求めて数多くの虫が訪れ、肉食性昆虫のエサ場ともなる。ただ、この花ばかりに虫が集まる結果、同時期に咲く在来種の花は、繁殖のための花粉を運んでもらえなくなってしまう

 造成されたままに放置された空き地や埋め立て地を黄色く染める花の群れ。日本の秋に、セイタカアワダチソウの花畑はすっかり定着してしまった。

 この花が日本に入ってきたのは明治中期。最初は観賞用だった。一気に広がったのは戦後のことだ。米軍の資材に種がくっついて運ばれたとも言われているが、積極的に観賞用として、また養蜂のための蜜源植物としても各地に植栽された。

 日本が高度成長期を迎えると、開発によって植生を失った土地や、治水の結果安定した河原はセイタカアワダチソウにとって格好の住みかとなっていく。根からはほかの植物の発芽や成長阻害物質を出していることもあり、かつてオギやススキ、フジバカマなどが咲き乱れた野原の秋は黄色一色となった。

 もっとも、セイタカアワダチソウの場合はあまりにも悪役扱いされすぎているかもしれない。一時は花粉症の元凶のように騒がれていたけれど、蜜源植物に使われているように、この花は虫媒花。ブタクサのような風媒花と違い、大量の花粉を飛ばすようなことはない。

 花畑の中に近づいてみよう。そこにはミツバチや蝶が集まり、それを目当てにカマキリの姿も見つけられる。葉を見ればヨモギエダシャクやエゾギクキンウワバの幼虫も見つかるだろう。すでにセイタカアワダチソウは、日本の生態系の中に組み込まれつつあるのだ。

 先入観を抜きにすれば黄色い花の穂は美しく、原産地のケンタッキー州やネブラスカ州などではゴールデンロッドと呼ばれて州の花になっているほどだ。

 セイタカアワダチソウの増殖が、日本在来の植物を圧迫していることは事実だ。だが、それはパイオニア植物として生きやすい環境を見つけ、そこに育っているだけのこと。外来植物の“侵略”は、人間が自然を破壊した爪痕ということを忘れてはいけないだろう。

文・撮影/上田泰久 道草ネイチャーウォッチング