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可愛さに相反した強い力と気性の荒さで野生化の一途 – アライグマ 2010.12.23


アライグマ(北アメリカ原産)
飼育下のアライグマ。野外ではタヌキに間違われることも多いがしま模様のある太いしっぽがポイント


箱わなにかかったアライグマ。スイカに穴を開けて手を突っ込んで食べたり、トウモロコシの皮をむいて食べるなど器用なため農作物の被害が大きく、こういったわなを貸し出している自治体も多い


在来のホンドタヌキ。アライグマとの区別点はしっぽが短いこと、耳のふちとヒゲが黒いこと。こちらも雑食性のため都会でも生き残っているが、アライグマに圧迫されて生息数を減らしている

 今年も人里へのクマやシカの出没がニュースとなっている。だが、それはけものたちの生息域がそれだけ狭められているということ。決して野生動物の数が増えているというわけではなく、多くは減少の一途をたどっている。

 そんな中で、確実に生息数を増やしているもののひとつが、外来生物であるアライグマだ。日本では可愛らしい動物としてお馴染みになっているが、これは1977年に放映されたアニメ『あらいぐまラスカル』の影響が大きいだろう。ブームとなったアライグマはぬいぐるみのモデルとして人気となり、さらにペットとしても数多くが輸入された。

 だが、猫や犬のような長い歴史を持つ愛玩動物と違い、アライグマは野生動物そのもの。成長すれば力も強く、繁殖期には気が荒くなって、飼いきれずに放棄された個体が野生化していった。現在では外来生物法によって飼育が制限されているが、すでに日本のほとんどの都道府県で生息が確認されているという。

 アライグマが日本に定着できたのは、天敵となる肉食獣がいなかったことに加え、植物から昆虫、両生類、魚まで食べる雑食性であることも大きい。そして、このために各地で農作物への被害も甚大なものになりつつある。また、生息環境が重なる在来種のタヌキを駆逐したり、希少種のサンショウウオを食べるなど、生態系への影響も指摘されている。

 現在、各地の自治体が対策に取り組んでいるが、見た目が愛らしい動物だけに、その駆除には反対意見も根強い。だが、個体としての愛らしさ、命の尊さを重んじるあまりに、在来生物の生息を脅かすことがあってはならないし、捕獲個体の飼育施設を作るなどコストパフォーマンスを度外視した対策も現実的ではない。外来生物は、本来日本にいなかったはずの生き物。持ち込んだのが人間なら、その尻ぬぐいをするのも人間の責任なのだ。

文・撮影/上田泰久 道草ネイチャーウォッチング

写真協力/千葉県木更津市経済部農林水産課