取材協力 浙江省旅游局 http://www.tourzj.jp/ ANA全日空 http://www.anaskyweb.com/
旅は5月1日に開通したばかりの「杭州湾大橋」の横断から始まった。浙江省・慈渓から対岸まで杭州湾を南北にまたぐ杭州湾大橋は、海上大橋としては世界最長の36km! この橋の開通により上海へのアクセスは120kmも短縮し、経済や観光において多大な効果が見込まれている。地元の期待も大きく、開通直後3日間で100万人が押し寄せ、車一台片道80元の通行料だけで一日3000万元になったというから、すさまじい話である。 そんなエピソードを聞きながら、バスで35分かけて上海側に到着する。振り返っても対岸の端がまったく見えないこの距離感、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋が全長13kmだといえば少しはイメージしてもらえるかもしれない。海を超え湾をまたいで橋をわたそうというスケールの大きな発想に、大国・中国を感じる。
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海はその先にある彼方へと思いを誘う存在だ。中国の人はよく「中国と日本は一衣帯水」というが、事実、東シナ海(中国名・東海)をはさんで向かい合う浙江省と九州には2000年を超える交流の歴史がある。紀元前200年頃、秦の始皇帝の命を受け、東方の海の向こう、不老不死の薬草が育つという蓬莱山をめざして出航した「徐福伝説」はその最古のものだろう。徐福は3000人の少年少女と技術者を連れて日本にたどりつき、中国の先進文化をわが国に広めたという。一行が上陸した土地については諸説あるが、九州では佐賀が有力だ。徐福文化園として観光整備が進む達蓬山を一足先に散策したが、不老不死の薬は手に入らずとも、徐福にまつわる遺物を通して歴史をたどると心が踊ってくるからおもしろい。
佐賀に留学した経験を持ち、現在は中国で徐福を研究している李蔚さんは、「徐福は中日の文化交流のパイオニアです」と誇らしげに語ってくれた。佐賀でも熱心に徐福研究が行われており、日中交流はまさに現在進行形なのであった。 |
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寧波のはずれにある天童寺は1700年の歴史をもち、かつて臨済宗を開いた道元や曹洞宗の開祖の栄西が修行した名刹である。
揃いの黄色い帽子をかぶったお年寄りが線香をあげる境内を抜け回廊でつながった仏閣に入ると、行く先々で僧侶に出会う。聞けばこのとき、天童寺では10代から70代まで80人以上が修行中であった。彼らの日常は、午前3時30分に起床し1時間半の朝課を経て5時に朝食、途中で休憩を挟みながら座禅などを行い、午後11時に就寝するというストイックなもの。食事は精進料理、休みは月に1、2回という生活を送り、徳を積むのである。仏教も中国から日本に伝わった文化であるが、その原点をもとめて天童寺を訪れる日本人は今も多い。唐代には遺唐使たちが上陸する明州港として知られ、宋や元の時代には日本の禅僧の遊学地として名をはせた寧波で、日中交流のかたちを見せてもらった。 |
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旅の締めくくりは、杭州一の景勝地・西湖へ。中国人にとっても憧れの場所だと聞いていたが、確かに記念写真を撮る人の多さといったら尋常ではない。しかし、いくら人が多くとも、西湖はさらに広い。揺れる柳を眺めながら湖畔を散歩してもいいし、遊覧船に乗って遊ぶのもいい。5月から杭州市が導入したレンタサイクルを使えば、全長15kmある湖畔も気軽に走り回れる。ちなみに昼間は観光客に占領された感のある西湖だが、早朝はラジカセ持参で太極拳をするグループ、水筆でみごとな文字を披露する老人など、思い思いに寛ぐ市民の姿を見ることができる。そうそう、福岡市民の憩いの場である大濠公園も西湖を模してデザインされたものである。ご存じでしたか? |
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駆け足で記してきたけれど、浙江省の見どころはまだ終わらない。情緒を愛する人なら清代の姿を残した清河坊街は必見だし、中国最古の蔵書処・天一閣で中国人の書物への情熱に触れるのもすばらしい体験になるだろう。考古学に興味があれば、世紀の発見として報道された長江文明発祥の地「中華第一城」の現状をぜひ見てほしい。食材の持ち味を活かした杭州料理は日本人の口に合うから食べ飽きないし、お土産なら、中国緑茶の最高級品・龍井茶や、本場・紹興で買う紹興酒がおすすめだ。
九州から杭州への直行便はまだないが、杭州湾大橋を渡って杭州に入ることにすれば、福岡−上海−杭州という欲張り旅が可能になる。ちなみに9月には、杭州湾に流れ込む潮波が垂直壁となって銭塘江を逆流する奇観が見られるし、金木犀が咲く秋の杭州はとびきり美しいのだとか。みなさま、ぜひお出かけください。
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