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報道されているとおり日本では今、高齢化が問題となっていますが、単にそれだけが老老介護の割合が高くなっている要因ではありません。以前の日本のような2世帯、3世帯の家庭は次第に姿を消し、1世帯の家庭が増えてきているために「高齢者が高齢者を介護しなければならなくなってきている」というのが現状なのです。
平成19年度の調査では、介護者のいる家庭の約6割で、老老介護が行われているという結果が出ています。
今後も日本の高齢化は進んでいくと予測されていますし、これはすぐに改善される問題ではありません。
まずはこの現状を受け止めて、今できる最善の方法をとれるように、介護している人が周りの人に相談できる環境を作ることが大切です。
※60歳以上の要介護者を、60歳以上の同居者が介護している状態のこと

介護保険は市町村単位で決まっているため、若い方が少ない地域や、介護サービスが充実している地域では、平均よりも保険料が高くなる傾向があります。
老人ホームなどの施設入居者割合にも違いがあり、施設の整備状況や地域との関係性の濃淡によって差があります。
また、富山県や佐賀県などでは、高齢者施設と保育園などがタイアップし、お年寄りと小さいお子さんの交流を図るなど、独自の取り組みを進めています。
お年寄りは子どもたちから元気をもらい、子どもたちは多くの知識をお年寄りから得ることができるのです。小さいうちからお年寄りと接する、擬似2世帯、3世帯といったような機会がさらに増えていったら、と考えています。
人手不足の大きな要因として、肉体的にも精神的にも大変な仕事に見合わない介護報酬の低さが挙げられています。
平成12年にスタートした介護保険制度ですが、その後、平成15年と18年の2回にわたり、介護報酬のマイナス改定が行われました。その影響と、進行する高齢化によって、介護現場での人手不足は深刻な問題となったのです。
国はこの問題を改善するため、平成21年に、介護事業を行う法人へのプラス3%の単価引き上げを行いました。また同年10月には、ホームヘルパーや介護福祉士などの介護従事者に対して、毎月1.5万円の給料一律アップ※の施策をとっています。
※雇用形態などにより対象外もあり

要介護(要支援)認定者数の推移
65歳以上被保険者数の推移
※ただし、2000年4月末の認定者数は65歳未満の認定者を含む
現在、非正規労働者などの雇用保険がない人に対して、10万~12万円の給付金を受け取りながら、無料でホームヘルパーや介護福祉士の学校に通うことができる事業を行っています(条件あり、テキスト代など別途)。また、介護施設で働きながら、無料でホームヘルパーなどの資格を取得できる事業、介護福祉士の学校に通うための学費を貸与する事業なども行っています。
このような施策もあり、若い方を中心として、介護の道を志す人は確実に増えてきています。体力、気力ともに必要な仕事ではありますが、とくに年齢制限はないので、この仕事を目指す中高年の方も最近では多くなっています。
介護は、とてもやりがいのある仕事です。お年寄りに直接感謝の言葉をかけてもらえたり、その優しさに触れられたりという点で、何事にも代えがたい充実感のある仕事だと言えます。人づきあいが好きな人などにも、やりがいを感じていただけるでしょう。また、人生経験豊富なお年寄りの話を聞けていい勉強にもなる、素晴らしい環境に身をおける仕事でもあるのです。

取材協力・資料提供:厚生労働省
話し手:厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課
課長補佐 佐藤 康弘さん
介護を仕事として捉える人の気持ち、またその「やりがい」とは、どういったものなのか麻生医療福祉専門学校の先生と生徒に、率直な意見を聞きました。
林 厚生労働省が介護・福祉の緊急雇用を打ち出し、多くの方の関心が高まりました。この仕事は、高齢者や障がい者への興味がないと続きません。介護を目指す人は、もともと高齢者に対して興味を持っていることがほとんどです。
楠田 私も、家族が入院したときに、病院の医療ソーシャルワーカーの方とお話ししたことが入学のきっかけになりました。
山下 現場では、「やりがいを感じて仕事をしているのに、それをもっとわかってもらいたい」と感じている方も多いんですよ。労働条件、収入、生活の面で見ると、まだまだ環境改善が必要なのが実情ですね。

左から麻生専門学校グループ 福岡キャンパス統轄副校長 林宏治さん、ソーシャルワー
カー科一年 楠田大輔さん、麻生医療福祉専門学校 福岡校 教務部介護福祉科ソーシャ
ルワーカー科学科長 山下和美さん
林 人権を守り、尊厳を大切にして、人対人の関係を持って介護のサービスが提供できるように、認知症の理解、体のしくみ、生活支援技術などについて学んでいます。
山下 我が校独自の取り組みとして、入学してすぐに現場での実習を行っています。自分たちの勉強が現場でどう活かされるのかをイメージ付けるためです。そのなかで、介護の仕事に必要なコミュニケーション、寄り添う力の大切さを学びます。
楠田 コミュニケーションの勉強がとても多いですよね。私は勤め人だったのですが、会社員時代の、自分をどう理解してもらえるかというコミュニケーションと違って、福祉の現場では、利用者の気持ちをどれだけ引き出せるか、聞けるか、受け止めるかが重要となります。最近は、怒ることがなくなりましたね。イライラしている人がいても、理由があるのかなと思うようになったので。周りのことが見えはじめて、小さな変化にも気がつくようになりました。
山下 介護の勉強は、人間としても深まっていくからね。
楠田 ええ。それと、コミュニケーションの手段として高齢者の方の好きな映画や歌について調べるうちに、カラオケで歌う曲が変わってきました(笑)。

山下 介護は手助けをするだけと思われがちです。その人の人生すべてを支えて、いかに幸福に生きていくかを目指すところに介護の専門性があります。家族の代わり、といった単純なものではないのです。
林 高齢になって身体の機能が衰えている期間は、人生のなかでは点に過ぎません。介護とは、その人の人生すべてを見るということです。高齢者の方と接すると、初めは拒否されるようなこともありますが、相手を理解してコミュニケーションをとり、受け入れてもらって笑顔を出されるとモチベーションがあがります。それがやりがいと言えるかもしれませんね。
楠田 実習先で認知症の方に「手をつないで」と言われたときに、自分のことを見てくれていると感じられてうれしかったですね。頼りにされたり、誰かに必要とされたりすると、自分の存在を認められていると感じられます。
山下 介護はボランティアではありません。介護保険制度の導入(平成12年)から、介護はサービスになり、してやる介護からさせていただく介護へと変わりました。まかせてもらえるだけの技術や知識を持たないと選ばれないのです。
林 介護福祉士が専門職として、良いサービスを提供して利用者に選んでもらい、モチベーションをあげて取り組んだことへの対価がもらえるということを前提にしたいですね。でなければ続けられませんから。
楠田 どうしても女性の職場のイメージのある介護ですが、もっと福祉の現場に男性を増やしていかなければと思います。
山下 最近は、男性の学生も多くなっているのでこの先楽しみですね。介護のように、人と近くで接して、理解して、生活を支える。しかもその人自身も成長していける仕事はそうありません。そのすばらしさややりがいに目を向けてもらえたらと思います。
いつかはみんな年老いていく
高齢化の進行が確実視される日本社会の未来において、介護問題の行く末は大きな鍵となります。まずは、寝たきりの人を増やさないための介護予防を行うことが大切です。
また、出口のニーズは多いのに、なり手が少ないという人手不足の状況をどう変えていくのか。高齢者を若い人が支えるという循環システムを早急に作る必要があります。
家庭内での「燃えつきない介護」や、「する側、される側が幸せな介護」を徹底するためにも、今後は、介護を社会全体で見守っていかなければなりません。介護問題には、国民的な議論が必要とされているのです。
麻生医療福祉専門学校 福岡校
開講して14年となる、介護福祉士を目指す介護福祉科(2年)は、現場との信頼関係が築けていて、12年連続で就職率100%を誇る。介護福祉士と社会福祉士の国家資格取得を目指すソーシャルワーカー科(3年)は、九州では当校を含め、2つだけしかない。ほかにも医療情報科、社会福祉科などの医療福祉系の学科を持つ。
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写真提供:麻生医療福祉専門学校 福岡校