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高齢化が叫ばれて久しい昨今ですが、実際に介護の現場にいる人でなければ、介護問題をそこまで深刻なことだとは捉えていないのではないでしょうか。
団塊の世代と呼ばれるすべての人が65歳以上になるのは2015年。つまり、2025年には、75歳以上の後期高齢者となり、2017年には後期高齢者の割合が、65歳から74歳の人口を上回ると言われています。
私たち人間は、一人の例外もなく、年をとっていくのです。現在20歳の人が65歳となる2055年には、日本の人口の40%が高齢者という超高齢社会となっている予測です。高齢化によって起こる問題についての対策が急がれています。
その一つとして、また最重要項目として挙げられるのが、介護問題です。当然のことながら、高齢者一人当りを支える人数にも影響がでてきます。現在の2・77人から2030年には1・84人、2050年には1・31人へと減少していくと予測されています。
参考資料:国立社会保障・人口問題研究所 推計結果比較表(各年代別人口表)
※各年10月1日現在の人口、平成17(2005)年は総務省統計局『国勢調査報告』(年齢
「不詳人口」を按分補正した)人口による
現在、もっとも改善が急がれているのは人手不足の問題。それには、これからの日本を支えていく若い方への働きかけが大切です。各自治体での取り組みとして、高校生が参加する、夏休みを利用した介護体験や、介護現場でのインターン制度の導入などが行われています。また、自治体・団体によっては、認知症などについての勉強会を実施しているところもあります。これらの取り組みのなかには、国からの自治体補助の対象となるものもあります。
11月11日は、介護の日。これにあわせて、現在介護をしているご家族や介護現場で働かれている人、また介護になじみのない若い人などに向けて、フォーラムが各地域で行われます。
また、11月4日から11月17日までの2週間は、「福祉人材確保重点実施期間」として、福祉人材についてのさまざまな広報を目にする機会も多くなります。一度ここで立ち止まって、自分の問題としての介護を考えてみませんか。

高齢者(65歳以上)一人当たりを支える、生産年齢人口(15~64歳)の図解
参考資料:国立社会保障・人口問題研究所 推計結果比較表(各年代別人口割合表)
各年10月1日現在人口
報道されているとおり日本では今、高齢化が問題となっていますが、単にそれだけが老老介護の割合が高くなっている要因ではありません。以前の日本のような2世帯、3世帯の家庭は次第に姿を消し、1世帯の家庭が増えてきているために「高齢者が高齢者を介護しなければならなくなってきている」というのが現状なのです。
平成19年度の調査では、介護者のいる家庭の約6割で、老老介護が行われているという結果が出ています。
今後も日本の高齢化は進んでいくと予測されていますし、これはすぐに改善される問題ではありません。
まずはこの現状を受け止めて、今できる最善の方法をとれるように、介護している人が周りの人に相談できる環境を作ることが大切です。
※60歳以上の要介護者を、60歳以上の同居者が介護している状態のこと

介護保険は市町村単位で決まっているため、若い方が少ない地域や、介護サービスが充実している地域では、平均よりも保険料が高くなる傾向があります。
老人ホームなどの施設入居者割合にも違いがあり、施設の整備状況や地域との関係性の濃淡によって差があります。
また、富山県や佐賀県などでは、高齢者施設と保育園などがタイアップし、お年寄りと小さいお子さんの交流を図るなど、独自の取り組みを進めています。
お年寄りは子どもたちから元気をもらい、子どもたちは多くの知識をお年寄りから得ることができるのです。小さいうちからお年寄りと接する、擬似2世帯、3世帯といったような機会がさらに増えていったら、と考えています。
人手不足の大きな要因として、肉体的にも精神的にも大変な仕事に見合わない介護報酬の低さが挙げられています。
平成12年にスタートした介護保険制度ですが、その後、平成15年と18年の2回にわたり、介護報酬のマイナス改定が行われました。その影響と、進行する高齢化によって、介護現場での人手不足は深刻な問題となったのです。
国はこの問題を改善するため、平成21年に、介護事業を行う法人へのプラス3%の単価引き上げを行いました。また同年10月には、ホームヘルパーや介護福祉士などの介護従事者に対して、毎月1.5万円の給料一律アップ※の施策をとっています。
※雇用形態などにより対象外もあり

要介護(要支援)認定者数の推移
65歳以上被保険者数の推移
※ただし、2000年4月末の認定者数は65歳未満の認定者を含む
現在、非正規労働者などの雇用保険がない人に対して、10万~12万円の給付金を受け取りながら、無料でホームヘルパーや介護福祉士の学校に通うことができる事業を行っています(条件あり、テキスト代など別途)。また、介護施設で働きながら、無料でホームヘルパーなどの資格を取得できる事業、介護福祉士の学校に通うための学費を貸与する事業なども行っています。
このような施策もあり、若い方を中心として、介護の道を志す人は確実に増えてきています。体力、気力ともに必要な仕事ではありますが、とくに年齢制限はないので、この仕事を目指す中高年の方も最近では多くなっています。
介護は、とてもやりがいのある仕事です。お年寄りに直接感謝の言葉をかけてもらえたり、その優しさに触れられたりという点で、何事にも代えがたい充実感のある仕事だと言えます。人づきあいが好きな人などにも、やりがいを感じていただけるでしょう。また、人生経験豊富なお年寄りの話を聞けていい勉強にもなる、素晴らしい環境に身をおける仕事でもあるのです。

取材協力・資料提供:厚生労働省
話し手:厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課
課長補佐 佐藤 康弘さん